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タイの電気自動車産業の認知拡大によるPCB産業の動向分析

 タイの電子プリント回路基板(PCB)製造産業は、国の経済に大きく貢献する重要な輸出セクターと見なされています。家電製品、コンピュータ、オフィス機器、通信機器、監視カメラなどを生産するOEM PCB製造工場が多くの工業団地に存在することからも、この重要性が明らかです。この産業は50年以上にわたり継続的に発展しており、タイ投資委員会(BOI)を通じて特別な税制優遇措置やその他の利益を享受しています。

製造業者数と輸出額
世界のプリント回路基板(PCB)市場は、2021年から2026年にかけて年間約3.3%の成長率が見込まれています。2020年には市場規模が約700億ドルと評価され、5年以内に860億ドルに達すると予想されています。この成長は、消費者向け電子機器の需要増加と急速に進化する技術によるものです。頻繁に新しい電子機器が発売される中、製品のライフサイクルが短いことが、この傾向を物語っています。

競争と課題
2011年に発生した複数の工業団地での洪水後、タイの電子機器生産ラインの一部が混乱し、OEMの親会社はリスク分散のためフィリピン、インドネシア、ベトナムなど他のASEAN諸国への投資を進めました。この結果、タイの輸出量は大幅に減少しました。また、技術の進化や中国で大規模に製造されるスマートフォンの台頭も減少の要因となりました。さらにCOVID-19パンデミックにより、国境封鎖が原因で原材料不足が発生し、多くの企業が生産拠点をタイから労働コストの安い国へ移しました。中小規模の製造業者は、通常、下請け業者であり、技術力の制約や研究開発への投資不足により、大企業に比べて適応が遅れる傾向があります。例えば、SATAハードディスクの製造からSSD、さらにNVMe M.2ドライブへの移行が数年で進んだことが、適応力の格差を浮き彫りにしました。

将来の動向と展望
PCB産業の将来は有望であり、特に電気自動車(EV)およびIoT産業の爆発的な成長が期待されています。PCB製品の需要が増加する中で、メーカーは近隣諸国との競争に勝つために品質重視の生産に取り組む必要があります。そのためには、製造におけるロボット技術の活用や最新の生産技術に基づく研究開発が求められるでしょう。例えば、台湾の大手チップメーカーFoxconnは、PTTとの合弁事業を通じてタイに電気自動車の生産工場を設立しました。また、中国のBYDも生産施設を設立しており、中国の大手EVメーカーは、タイをASEAN地域向け車両の製造拠点として活用する計画を進めています。さらに、TESLAは当初、EVショールームへの投資を計画していましたが、資本金を2億5,300万バーツに増額しており、販売だけでなく製造拠点への拡大も視野に入れていると考えられます。

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