2021年、タイは依然として長期にわたる新型コロナウィルスの流行に対処しなければならない状態であるが、すべてのセクターがこの危機を乗り越えるために懸命に取り組んでいる。また、タイ経済を牽引し続ける経済セクターの一つは輸出セクターであり、2021年1月から5月までのデータを見ると、前年同期と比較した場合、10.78%以上の増加となっている。
商務省国際貿易振興局のデータによると、2021年1月から5月のタイ輸出額は108,635.22百万米ドルであることがわかった。2020年1~5月期と比較すると、輸出額が98,062.94百万米ドルなので10.78%の増加となり、輸出額の伸び率が12.35%であった2018年を除き、輸出成長率が-3.55%から12.35%であった2016年から2020年の5か月間の輸出額と比較すると、ほぼ最高の成長率を示した。その主な理由は、世界経済、特に米国、中国、欧州、日本の回復であり、これにより、国の大規模人口に向けたワクチン接種の推進、グローバル製造企業の回復、大規模な景気刺激策の実施へとつながり、海外での新型コロナウィルスの状況に対してより良く対応並びに対処できた結果によるものだ。また、2021年5月の輸出額がわずか23,057.9百万米ドルであることを考慮すると、前年同期比で増加が見られたことがわかる。
タイの主要輸出市場である米国、中国、日本、ASEAN、欧州連合(EU)が全市場にて最も高い成長率を示し、EU、中国、米国のそれぞれで最も高い成長を示した。輸出が減少し圧力を受けた市場は、スイス、ガボン、アンゴラ、ウズベキスタン、ヨルダンであった。
宝石やジュエリーを除き、タイのトップ15輸出品のほとんどが拡大した。輸出率が最も高い輸出製品の上位3つは次のとおりである。
第一位 自動車、およびその設備と部品が11.42%を占め、48.47%増。
第二位 コンピュータ、機器、およびその部品が7.84%を占め、15.14%増。
第三位 ゴム製品が5.79%を占め、48.47%増。
さらに、高い成長率を示す数種の主要商品として、プラスチックグラニュール、化学薬品、エアコンおよび部品、精製油、鉄・鉄鋼製品、生鮮・冷蔵・冷凍・ドライフルーツ、ゴム、電化製品およびその他の部品が含まれている。
2021年の輸出見通しとしては、特に5か月連続で拡大している工業製品が継続的に拡大する傾向にある。各国の新型コロナウィルスに対する効果的な管理とワクチン接種によるロックダウン措置の緩和に伴い、エネルギー価格の上昇が続き、各国で実施される景気刺激策がタイの輸出拡大を支えている。3つの民間セクター(ECS)による合同委員会では、2021年のタイの輸出額は前回予想した3~5%から4~6%に増加すると期待しており、またタイ荷主協議会(TNSC)では、2021年の通年輸出額が6~7%増加すると予測している。
タイの輸出セクターは、2021年のタイ経済における重要な刺激策と考えられている。輸出成長は、経済拡大、雇用、生産、投資の一因となり、タイのインダストリアル エステートへの投資のきっかけともなっている。また、タイ政府によってインダストリアル エステートへの投資を支援するための公益事業、交通、施策が整備されているため、結果として同国のインダストリアル エステートへの投資が継続的に増加している。