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債券の利回りとは?株式、金価格、貨幣価格にどのような影響を及ぼすか?

債券の利回りとは、低リスク金利に分類される国債の利回りです。利回りは多かれ少なかれ債権のタイプに依存するが、リスクは低い。利回りの多寡は債券の種類によるが、短期債券の利益は低く、長期債券の利益は高い。今、注目されているのは米国の10年国債である。量的緩和政策の期間、2021年初頭に至るまで下り続けていた国債の利回りが急上昇するようになり、それ以降新たな最低ポイントを出していない点が興味深い。株式リスクを回避したいと願う投資者の目が国債に向くようになり、米国国債の価格が急上昇するようになった。

国債の変動が株式、金価格、貨幣価格に及ぼす影響

画像出典元: CNBC 国債収益およびS&P500指数

この図からもわかるとおり、米国の10年国債は2012年からS&P 500の株式投資の利益と全く反対の動きを示している。また金の価格も2020年8月7日の新高値2089.20米ドルから徐々に下降し、短期間では新たに高値を付けることはなさそうである。株と金の投資者は、10年国債の利回りが近いうちに2020年年初の新型コロナウイルス感染症発生時の最高値に戻るのではないかと考えるようになっている。これは米国の経済データと一致している。バイデン大統領の景気刺激策により実質面での投資と国内外の雇用が増加することが見込まれる。特に東南アジアの人件費が米国よりはるかに低いことから、その地域への投資が増えるであろう。これは米ドルに対するタイバーツの為替レートの上昇からも見る事ができる2020年のタイ銀行の労働生産指数報告が示すとおり、2020年中期から大量の資金がタイの各種産業に流入するようになった。これはタイ投資委員会(BOI)の投資促進報告とも一致している。新型コロナウイルス感染症の流行が下火になって間もないにもかかわらず、多くの外国企業がタイへの投資に関心を持っている事を示している。

危機をどのように見分け、乗り越えるか?
2020年の初頭から現在まで、全世界で新型コロナウイルスによる感染症が流行したため、経済危機が生じると多くの人が危惧している。しかしこれまでの経済危機発生時の統計を鑑みると、経済危機には必ず金融機関の破産が伴っていることがわかる。例えばタイで起こったアジア通貨危機では、30以上の金融機関が破産した。米国のサブプライム住宅ローン危機ではリーマンブラザーズやアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が破産した。2020年の年初には大型バブルの初期兆候が現れた。どの国でも景気刺激策が展開し、銀行の金利はほぼゼロとなった。そのため危機の兆候をどのように事前に見極め、判断するかが非常に重要となってくる。

  • 銀行金利の上昇傾向。各国が経済を刺激し金利をほぼマイナスに引き下げる為に発動した量的緩和政策の後、世界の株式市場が回復した事は間違いない。したがって投資するローンが有っても驚かない。金利引き上げに関するFEDの会合にも関らず、現在はまだ上下いずれの調整決定には至っていない。投資者は金利が意図的に上方調整されているかどうか、例えば3-4四半期連続の金利上昇に注意する必要がある。
  • お金はいつもハイリターンに流れる。これを否定する人はいないであろう。だれも利益が少ない所に多大な資金を投入したいとは思わないからである。株に投入される資金が増えるとリスクも増大する。このリスクを減らすには、低リスク高収益の投資方法を考える必要がある。その一つとして国債、特に米国の10年国債が対象に上る。これは株に流入する資金の量を推し量る上で効果的な指標であり、同時に、株式、金価格、貨幣価格が受ける影響を見積もる上でも有効な指標となる。
危機到来時に企業はどのようにして生き残るか?
危機を乗り切る方法は誰もが知りたいと願っている。注意深くみると、ちょうどコインには裏と表があるように、危機も千載一遇の好機となり得る。生き残るための具体的な方法としては次のようなものがある。
  • 廉価な商品は市場に溢れている。経験豊かな事業家や投資者は危機のサインを目にすると、多額の現金を蓄え、必要とする企業を買収するか、その持分、不動産、金、生産に必要な機器を購入する。こうして経済が持ち直した時の生産拡大に供するためである。
  • ビジネスチャンスや収益のチャンスを更に拡大する。競合相手が経済危機に直面して淘汰される中、残った企業にとってそれは優れた業務拡張、顧客群開拓のチャンスとなる。またレンタル倉庫を活用することで自前の倉庫建設によるコストをかなり抑えることができる。また出来合いの工場を利用する方が自社の工場を建設するより効果性が高い。
  • 企業のスリム化。これは企業の柔軟性を高めるために行われる。好景気の時期には、多くの企業は問題が見つけられないか、発見したとしてもすぐに解决しない。危機に直面した時にこそ、不必要な業務や作業の重複を見直して出費を削減し、予算を低減させる必要がある。これは企業の全体構造を調整し、業務効率を上げる優れたチャンスである。
経済危機であれ、他の種類の危機であれ、通常はその兆候により事前に予知することが可能だが、問題はそのサインが微かであるため、気が付きにくいことである。まさにカエルの入った水を徐々に加熱してもカエルはそれに気づかず、最初のうちは元気に泳いでいるが、湯が熱い事に気が付いた時には調理されている。投資もこれと同じで早いうちに回りの変化に気づく必要がある。特に金融、金利、株価、金価格、他の各種投資情報に注意し、それらの示す兆候を絶えず観察するようにしたい。

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